下顎後退(小顎症)による影響
見た目の印象に大きく関わるため、コンプレックスや心理的ストレスにつながることがあります。また、かみ合わせの不良により、咀嚼効率の低下、発音障害(特にサ行・タ行)、いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることもあります。
下顎後退(小顎症)
下顎が上顎よりも奥まっている状態で、「顎がない」と表現される方もいらっしゃいます。相対的に上顎が前方に突出しているように見えるため「口ゴボ」や「出っ歯」に見えることがあります。下顎の成長は正常でも位置が後ろにある場合は「下顎後退症」、下顎の発育不全で下顎の長さや幅、高さなど下顎自体が小さい場合は「小下顎症」と分類されます。また、顎先(オトガイ)だけが小さい場合は「小オトガイ症」と呼ばれます。軽度であれば矯正治療のみで改善しますが、骨格的な問題が大きい場合には外科手術が必要になることもあります。
下顎後退の原因には、遺伝的要因のほか、口呼吸や舌の位置の異常、長期間の指しゃぶりなどが関係していることもあります。
見た目の印象に大きく関わるため、コンプレックスや心理的ストレスにつながることがあります。また、かみ合わせの不良により、咀嚼効率の低下、発音障害(特にサ行・タ行)、いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることもあります。
下顎前方移動術は、下顎の後退を改善し、顔貌のバランスを整えるための外科的手術です。この手術は、1957年にObwegeser法として提唱され、その後、1961年のDal Pont法、1968年のHunsuck法、1977年のEpker法など、様々な改良が加えられてきました。
下顎の内側の歯ぐき(粘膜)を奥歯の周辺から丁寧に切開して、(下顎骨)にアクセスするため、顔表面に傷は生じません。下顎骨の左右後方に存在する下顎枝を矢状面(体を前後ではなく、左右に分ける仮想の垂直な面)で切り分けて下顎を前方に引き出し、プレートで固定します。
顎骨移動後の骨と骨の接触面積が広いため、骨同士の癒着が速やかに行われて、後戻りが少なく術後の安定性が高い方法です。
手術は全身麻酔下で行われ、通常は1泊入院が必要です。